若いころの私は、仕事を頼まれると、
「早くこなしてしまおう」
と思うあまり、すぐに取りかかり、急いで仕上げようとしていました。
あるとき、上司から、かなり細かいデータを集める仕事を頼まれました。
「大変そうだなあ」
と思いながらも、期限を確認することもなく、その日のうちに済ませようと頑張りました。
少し残って仕事をして、なんとか完成。
翌朝、さっそく上司に提出しました。
すると、
「あー、あれもうやってくれたんだ。あれから少し方針が変わってね。一応もらっとくね」
と言われました。
「『一応もらっとく』か……」
力が抜けたことを覚えています。
もちろん、上司も最初から不要な仕事を頼んだわけではなかったのでしょう。
仕事を頼んだあとで状況が変わることもあります。
ただ、今振り返ると、上司のほうも、
「とりあえず、これを調べてもらおう」
くらいの段階で頼んでいたのかもしれません。
そして私も、
「いつまでに必要ですか?」
と一言聞けばよかったのです。
今の私は、仕事を頼まれると、まず、
「分かりました。期限はいつですか?」
と確認するようになりました。
すぐにできる仕事は、すぐに片づける
一方で、すぐにこなせる仕事は、さっさと片づけるようにしています。
簡単な照会への回答や、すぐにできるデータ集計などです。
こうした仕事は、
「簡単だから、あとでやろう」
と思っていると、本当に忘れてしまうことがあります。
それに、仕事というのは予定どおりにはいきません。
後でやろうと思っていたところに、思わぬ新しい仕事が入ってくることもあります。
そうなると、ほんの少しで終わる仕事なのに、なかなか手をつけられない。
「あれもやらなきゃ」
と、ずっと頭の片隅に残ります。
たいした仕事ではないのに、これが意外と気になります(笑)。
だから、さっとできるものは、できるだけその場で終わらせる。
一方で、時間のかかる仕事や、考える必要のある仕事は、まず期限を確認してから取りかかる。
長く働くうちに、そんなふうに仕事によって時間の使い方を変えるようになりました。
私は、やる気が出るのを待つより、とりあえず仕事を始めてしまうことも大切だと思っています。
→「仕事のやる気はなくてもいい。約30年、私はそうやって働いてきた」
自分で作った資料も、一晩寝かせる
このほか、締め切りに余裕がある資料などは、いったん「できた」と思っても、一晩寝かせるようにしています。
これは、若いころに上司から教わったことです。
ある日の夕方、作っている資料がどうしてもうまくまとまらず、そのことを上司に伝えました。
すると、
「一晩おくといいよ」
と言われました。
その日はそこで仕事を終えて帰りました。
すると帰り道に、
「あ、こうしてみたらどうだろう」
と、ふとアイデアが浮かんできました。
翌朝になると、私はいそいそとその資料を直しました(笑)。
それ以来、締め切りに余裕がある資料は、できるだけ一晩置いてから、もう一度見るようにしています。
一晩置いてみると、前の日には気づかなかったことが見えてくることがあります。
新しい根拠を加えることを思いついて、資料に厚みが出ることもあります。
もちろん、
「あ、ここ間違ってる」
と、単純なミスを見つけることもあります。
前の日には何度見ても気づかなかったのに、不思議なものです。
急いで完成させようとしているときには見えなかったものが、少し時間を置くことで見えるようになる。
若いころ上司に教えてもらった「一晩おく」という方法を、私は今も使っています。
忘れないために、私は付箋を使っている
仕事を少し寝かせるためには、もう一つ大事なことがあります。
寝かせたまま、忘れないことです(笑)。
私は、やることを付箋に書いて、机の上の卓上カレンダーに貼っています。
TeamsのPlannerなどを使えば、もっとスマートに管理できるのでしょう。
でも私は、仕事が一つ終わるたびに、付箋を一枚ずつはがしていくのが好きです。
「終わった」
と、ちょっとした達成感があります。
そして何より、付箋が残っている限り、やるべき仕事が目に入ります。
私には、このアナログな方法が合っているようです。
ただし、これにも重大な弱点があります。
付箋に書くこと自体を忘れたら、終わりです(笑)。
たまに、
「あの依頼した件は、どうなったでしょうか」
というリマインドのメールが届いて、
「しまった」
と焦ることがあります。
すぐやることも、待つことも仕事のうち
若いころの私は、頼まれた仕事にすぐ取りかかり、早く仕上げることが、真面目に働くことだと思っていたような気がします。
でも今は、すぐにやる仕事と、少し寝かせる仕事を分けています。
さっと終わるものは、さっと終わらせる。
時間のかかる依頼は、まず期限を確認する。
考える必要のある資料は、一晩寝かせて、もう一度見る。
急がないことで、かえって仕事がうまくいくこともあります。
長く働いてきて、ようやく「すぐやる」だけが仕事ではないと分かってきました。
今日も、新しい仕事を付箋に書いて、卓上カレンダーに貼ります。
そして、終わった仕事の付箋を一枚はがします。
貼ったり、はがしたり。
そんなことを繰り返しながら、今日も仕事をしています。
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