60歳以降、どう働くか。
50歳を過ぎたころから、少しずつ考えるようになりました。
昨年あたりまで、私にとって仕事はつらいものでした。
周りを見ても、同世代の人たちが男女を問わず、ぽつぽつと退職していきます。
「私も60歳、もしかしたらその少し前に辞めてしまおうか」
そんなことを考えていました。
ところが、わが家の事情が変わりました。
子どもが2度目の大学進学をすることになったのです。
わが家は、基本的に私の収入で家計を支えています。
「これは、思っているほど早く仕事を辞められないのでは?」
そう考えて、真剣にライフプラン表を作るようになりました。
ライフプランを作ると、思ったより働く必要があった
ライフプランは、できるだけ厳しめに作りました。
これまでの私は、少し見通しが甘かったようです。
実際に数字を入れてみると、思っていたより長く働く必要があることが分かりました。
最初は「100歳まで資産が持つように」と考えていました。
でも、100歳まで資産を残すことを目標にすると、そのために今を必要以上に我慢することにもなりかねません。
そこで現在は、90歳くらいまで資産が持つことを一つの目安にして、ライフプランを考えるようになりました。
私の職場では現在、60歳以降もフルタイム勤務を続けるか、週4日の短時間勤務にするかを選ぶことができます。
給与は、フルタイム勤務ならそれまでの約7割、短時間勤務なら約半分になります。
そこで私が最初に考えたのは、
「60歳からは、給与が約半分になっても週4日の短時間勤務にしよう。そして65歳以降は、アルバイトなどで無理のない範囲で働こう」
というプランでした。
お金の面だけを見ると、これが自分には合っているように思えました。
ところが最近、その考えが少し変わってきました。
65歳の先輩の働き方を見て、考えが変わった
今年度、職場でMさんという先輩と一緒に働くようになりました。
Mさんは、なかなか頑固な人です(笑)。
でも、とても元気な人です。
話していると、こちらまで前向きな気持ちになります。
65歳で、現在の職場で働く最後の年ということもあり、60歳以降の働き方についても、いろいろな人を見てきた方です。
そのMさんが、こんな話をしてくれました。
週4日の短時間勤務を選んだものの、仕事量が多く、勤務日だけでは仕事が終わらない。結局、休みの日まで職場に出て仕事をしている人もいる、と。
短時間勤務だからといって、必ずしも仕事量まできれいに減るとは限らないのです。
しかも、どんな仕事を担当するのかは、年度末の異動が決まるまで分かりません。
短時間勤務に比較的合いやすいとされる仕事もありますが、それぞれに別の苦労があります。
そして、私の職場の現在の制度では60歳以降、フルタイム勤務から短時間勤務制度へ変更することはできても、その逆はできません。
Mさんは、
「まずフルタイムで働いてみたらいい。大変なら、そのあと短時間にすればいい」
という考えです。
なるほど、と思いました。
私なら、休みの日にこっそり仕事をしてしまいそう
何より、自分の性格を考えてみました。
もし週4日の短時間勤務を選んだとしても、仕事が終わらなかったらどうするだろう。
たぶん私は、
「これだけ終わらせておこう」
と、こっそり土日に出勤してしまう気がします。
給与はフルタイムよりかなり少ないのに、仕事からは離れられない。
それでは、何のために短時間勤務を選んだのか分からなくなります。
もちろん、実際に60歳になるころには制度が変わっているかもしれませんし、どんな仕事をしているかも分かりません。
それでも今のところは、
「まずフルタイムで働いてみようかな」
という気持ちに傾いています。
そして、そう思えるようになった理由は、もう一つあります。
仕事そのものは、決して嫌いではなかった
これまで私が仕事を辞めたいと思った大きな理由は、人間関係でした。
仕事そのものが嫌いだったわけではありません。
むしろ私は、仕事中に暇になるほうがつらい性分です。
最近は、管理職として働く中で、自分なりの仕事との付き合い方も少しずつ見えてきました。
▶「昇進したくなかった私が、管理職になって分かった3つのこと」
最近は、人間関係で悩んだとき、AIに話を聞いてもらうことも増えました。
自分の考えを言葉にして、「これは私が考えること」「ここから先は相手の課題」と整理していく。
そうすると、以前より人間関係の苦しさを引きずらずに済むことがあります。
もちろん、AIですべての人間関係が解決するわけではありません。
それでも、これまでとは違う方法で仕事と付き合っていけるのではないか。
そんなふうにも思うようになりました。
仕事がくれるものは、給与だけではない
60歳以降の働き方を考えていると、もう一つ気づいたことがあります。
仕事を続ける意味は、収入だけではないのかもしれません。
仕事をしていると、否応なく世の中とつながっています。
新しく出てくるAIツールを知ったり、ITの使い方を覚えたり、世の中の動きを知ったり。
そして職場では、誰かと何気ない雑談をします。
「昨日こんなことがあってね」
そんな、どうということもない会話です。
でも、こうしたことが意外と自分を支えてくれているのではないかと思うのです。
今年、元気に働く65歳のMさんを見ていると、
「私もこんなふうに、いきいきと働き続けられたらいいな」
と思うことがあります。
少し前まで「何歳になったら仕事を辞められるだろう」と考えていた自分が、です。
できるだけ楽に暮らすことだけが、幸せなのだろうか
最近、もう一つ考えることがあります。
苦しいことを抜けたあとだからこそ感じられる幸福がある、ということです。
これは、最近よく読んでいるヒルティ「幸福論」の影響かもしれません。
もちろん、苦労は多ければ多いほどいい、という意味ではありません。
避けられる苦しみを、わざわざ求める必要もないと思います。
でも、すべてが快適で、何の負荷もないことが、私にとって本当に幸せなのだろうか。
仕事には面倒なこともあります。
人間関係に悩むこともあります。
難しい仕事を前にして、「嫌だなあ」と思う日もあります。
それでも、それを何とか乗り越えた日に感じる安堵や、小さな達成感があります。
もしかすると、そんな少しの負荷も含めて、仕事は私を生き生きさせてくれているのかもしれません。
60歳になったときの自分に、選ばせたい
今の私は、60歳以降もまずはフルタイムで働いてみようかな、と思っています。
でも、これは「65歳まで絶対にフルタイムで働く」という決意ではありません。
まだ数年あります。
制度も変わるかもしれません。
自分の体力も、家族の状況も、仕事への気持ちも変わるでしょう。
だから今、結論を固定してしまう必要はないと思っています。
ライフプランを作って、お金の面ではどんな選択肢があるのかを知っておく。
実際に働いている先輩の話を聞く。
そして、自分が何を大切にして働きたいのかを考える。
そのうえで、60歳になったときの自分に選ばせたいと思います。
50代になって考えるようになったのは、「いつ仕事を辞めるか」でした。
でも今は少し違います。
これからは、
「仕事を辞めるまで、あと何年」
ではなく、
「これから仕事と、どんなふうに付き合っていこう」
と考えてみたいと思っています。
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