家計を守るために選んだ「解約」という決断
離婚後、家計を見直すなかで、私は思いきって高額な生命保険を解約しました。人間関係のしがらみや、予想以上の引き止めもありましたが、今では「あのとき決断してよかった」と心から思っています。
離婚と大学進学――重なる出費に家計は大ピンチ
10年前、私は離婚し、3人の子どもを育てるシングルマザーになりました。ちょうどそのとき、長女が県外の私立大学に進学。学費に加え、家賃や仕送りも必要で、ざっと年間200万円以上の出費。
養育費はあったものの、自分の給与と合わせても完全に赤字。ボーナスは入学金や引っ越し費用で消え、残ったのは、焦りと不安でした。
まず見直したのは「保険」だった
そんなとき、ふと頭に浮かんだのが、毎月2〜3万円払っていた生命保険の存在。母の友人である保険会社の社員に勧められるまま加入した大手の終身保険で、結婚当初から「子どもに迷惑をかけたくない」との思いで続けてきたものでした。
でも、この保険、本当に今の生活に必要なのか?自分に問いかけ始めました。
一冊の本が、私の背中を押してくれた
そんなとき出会ったのが、後田亨さんの著書『生命保険のウラ側』(朝日新聞出版)でした。
気軽に読み始めたつもりが、ある一文に目が釘付けになりました。
「保険会社の社員の多くは、自社の高額な終身保険には入らず、安い団体保険に入っている」
という内容を見て…
――え?自分で売っている保険に入ってないの?
長年、よかれと思って続けていたものが、急にグラグラと揺らいだ瞬間でした。
解約の決意と、支社への電話
毎月2〜3万円。赤字家計には重すぎる出費。そう思いながらも、「解約」という言葉を口にするのは気が重かったのも事実です。
というのも、母の知人を通じて入った保険だったので、「やめます」と言いにくいし……という不安もありました。
でも、もう迷っている余裕はありませんでした。私は思いきって、保険会社の支社に直接電話をかけ、「解約したい」と伝えました。担当者ではなく、あえて窓口を選んだのは、担当の外交員さんによる引き止めを避けたかったからです。
戻ってきた解約返戻金は、払った総額よりずっと少なくて、正直ショックでした。でも、月々の出費がなくなると思うと、心がふっと軽くなりました。
怒られ、泣かれても――それでも私は前に進んだ
ここからが、第2の山場でした。
数日後、近所のスーパーでばったり会った母の友人に、こんなふうに言われたのです。

「あなた、人としてそんな薄情なことしていいと思ってるの?」
頭では「家計を守るための決断だった」とわかっていても、心はやっぱりザワザワしました。
そして翌日、職場に突然やってきたのは、担当の外交員さん。私の顔を見るなり、目に涙を浮かべて言いました。

「本当に……やめちゃうんですか?」
さすがに驚きましたが、私は落ち着いて「はい」とだけ答えました。すると彼女はバッグから新しいパンフレットを取り出して、こう勧めてきたのです。

「こちらの外貨建て終身保険なら、今より保険料が安くて…」
もう、その営業魂には脱帽です。泣いても笑っても、営業は営業。だけど、私の気持ちはもう固まっていました。

「今回は見送ります」
笑顔で、しっかりお断りしました。
加入は簡単、解約はひと苦労。でも…
保険は加入するのは簡単なのに、いざ解約するとなると、精神的にも人間関係的にも大きなハードルがあると実感しました。
でも、自分と家族の暮らしを守るのは、他人の期待でも、申し訳なさでもなく、自分の意思なんですよね。
今思えば、あのとき決断したことで、家計の不安が一つ減りました。
怒られても、泣かれても、最後には自分の言葉で「NO」と言えた。その経験は、今の私のちょっとした自信にもつながっています。


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